ゴダール『映画史』2A 映画だけが
(Jean-Luc Godard, Histoire(s) du cinema. 2a: Seul le cinema, 1994-1998)
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1/2, 2/2
基本構成は『映画史』1A・1Bと変わらず、2A・2Bでも書斎でタイプライターの前に座り省察に耽るゴダールの姿と、映画ばかりでなく絵画や文学作品や音楽が引用・リミックスされ、様々な角度から映画の/映画に関する考察が積み重ねられていく。しかしこの2Aの冒頭では映画批評家セルジュ・ダネーへのインタヴューが挿入され、とりわけヌーヴェルヴァーグと歴史との関わりについての対話がなされる。そして途中、ジュリー・デルビーによる詩の朗読風景も挿入される一方で、ボードレールへの言及がいくつかの箇所で見うけられ、また「映画だけが」というこの章のタイトルだけでなく「どうして複雑にするのか?」などの命題が繰り返される。ゴダールはこの章をサンチャゴ・アルバレスらに捧げている。
(『現代思想』1995年9月臨時増刊号「総特集=ゴダールの神話」、「フィルモグラフィ」の彦江智弘執筆の項から抜粋)
■追記(2007年12月14日)
数ヶ月前のニコニコ動画運営側の調整によって、アカウントなしで見るためのニコニコ動画ビューアが通用しなくなったため、該当URLへのリンクは削除した。
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2007年6月22日金曜日
2007年6月21日木曜日
ジガ・ヴェルトフ集団『ウラジミールとローザ』(1970)
ジガ・ヴェルトフ集団「ウラジミールとローザ」
(Dziga Vertov Group, Vladimir et Rosa, 1970)
監督・脚本・撮影・録音・編集:ジガ・ヴェルトフ集団(ゴダール、ジャン=ピエール・ゴラン)
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1/2, 2/2
1968年8月のシカゴ民主党大会で騒乱を画策したとして起訴された、いわゆる「シカゴ八人組(Chicago Eight)」の裁判記録を基に、ジガ・ヴェルトフ集団の織りなす風刺劇。ゴダールとゴランはウラジミールとローザと称していわば道化役に回り、この裁判劇にコメントしたり、登場人物が行うテニス試合の横で互いにインタヴューしあったり、音声を録音したりする。バーレスク趣味が横行し、スラップスティック喜劇やテックス・アヴェリーのアニメのようだという評もある。
(『現代思想』1995年9月臨時増刊号「総特集=ゴダールの神話」、「フィルモグラフィ」の中条省平執筆の項から抜粋・改変)
■追記(2007年12月14日)
数ヶ月前のニコニコ動画運営側の調整によって、アカウントなしで見るためのニコニコ動画ビューアが通用しなくなったため、該当URLへのリンクは削除した。
(Dziga Vertov Group, Vladimir et Rosa, 1970)
監督・脚本・撮影・録音・編集:ジガ・ヴェルトフ集団(ゴダール、ジャン=ピエール・ゴラン)
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1/2, 2/2
1968年8月のシカゴ民主党大会で騒乱を画策したとして起訴された、いわゆる「シカゴ八人組(Chicago Eight)」の裁判記録を基に、ジガ・ヴェルトフ集団の織りなす風刺劇。ゴダールとゴランはウラジミールとローザと称していわば道化役に回り、この裁判劇にコメントしたり、登場人物が行うテニス試合の横で互いにインタヴューしあったり、音声を録音したりする。バーレスク趣味が横行し、スラップスティック喜劇やテックス・アヴェリーのアニメのようだという評もある。
(『現代思想』1995年9月臨時増刊号「総特集=ゴダールの神話」、「フィルモグラフィ」の中条省平執筆の項から抜粋・改変)
■追記(2007年12月14日)
数ヶ月前のニコニコ動画運営側の調整によって、アカウントなしで見るためのニコニコ動画ビューアが通用しなくなったため、該当URLへのリンクは削除した。
ゴダール『二十一世紀の起源』(2000)
ゴダール『二十一世紀の起源』
(Jean-Luc Godard, De l'origine du XXIe siécle, 2000)
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1/3, 2/3, 3/3
本作品はカンヌ映画祭の要請により、カナル・プリュスの共同製作で作られ、2000年の映画祭の開会式で上映された。ハンス・オッテのミニマル風の静謐なピアノ曲が流れる中、年号がシンプルに「1990」から「1900」まで15年ずつ遡って表示され、ヴァン・ヴォークト、ベルクソン、バタイユ、ギヨタらの断片が二人の男女によって読まれるとともに(男声はギヨタが受け持っている)、キューブリックの『シャイニング』、ゴダール自身の『勝手にしやがれ』のラストシーン、ロジェ・レーナルトの『最後の休暇』、マルローの『希望』、ドライヤーの『吸血鬼』などの映像が、戦争関連のニューズディールやポルノグラフィと混ぜ合わされて登場する。
「失われた世紀を求めて」展開されるこの探求は、「GOULAG」から「LAGER」への語呂合わせ的な文字の変移に明瞭なように、コソヴォから第二次世界大戦に至る20世紀の惨禍をライトモチーフにし、技法的な観点からも『映画史』の付録のような位置を占め、また『アワーミュージック』の地獄篇に通じる作品となっている。
(『ユリイカ』2002年5月号「特集=ゴダールの世紀」、堀潤之「ゴダール・フィルモグラフィー 1987-2001」から抜粋・改変)
director: Jean-Luc Godard
script: Jean-Luc Godard
music: ハンス・オッテ(Hans Otte)
text: ヴァン・ヴォークト(Van Vogt), アンリ・ヴァカン(Henri Vacquin), アンリ・ベルクソン, ジョルジュ・バタイユ, ジャン=ベニーニュ・ボシュエ(Jean-Benigne Bossuet), ピエール・ギヨタ(Pierre Guyotat)
voice: ピエール・ギヨタ、ロナルド・アリエル・シャマ(Ronald Ariel Chammah)
photo: ジュリアン・ハーシュ(Julien Hirsh)
mix: フランソワ・ミュジー、ガブリエル・ハフナー(Gabriel Hafner)
production: ヴェガ・フィルム(Vega Films)
対訳シナリオはこちら
注
* ボシュエ(1627-1704)はルイ14世に仕えた神学者であり、王権神授説を唱えた。数多くのテキストを残し、当時の文学者としても著名。
* ギヨタ(1940-)は小説家・舞台演出家。邦訳には『五十万人の兵士の墓』『続五十万人の兵士の墓』(二見書房)、『エデン・エデン・エデン』(ペヨトル書房)がある。ギュヨタ、ギュイヨタとも表記されている。
ネットにある『エデン・エデン・エデン』についての記事:
http://www1.ocn.ne.jp/~ppl/epaves01/guyotat.htm
http://www.fuchu.or.jp/~d-logic/jp/books/edenedeneden.html
また、演劇演出とゴダールの関係についての小文:
http://homepage3.nifty.com/musicircus/ecm/ecm_ns/1706_9.htm
* シャマは、ゴダール作品にもたびたび登場したイサベル・ユペールの夫であり、監督作『鳶(Milan noir)』(1988)、ジャンヌ・フーシェとの共著(『イサベル・ユペール 肖像の女性』、Seuil, 2005)がある。
■追記(2007年12月14日)
数ヶ月前のニコニコ動画運営側の調整によって、アカウントなしで見るためのニコニコ動画ビューアが通用しなくなったため、該当URLへのリンクは削除した。
■追記(2009年3月4日)
仏/英/邦対訳シナリオのリンクを忘れていたので改めて付した。
(Jean-Luc Godard, De l'origine du XXIe siécle, 2000)
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1/3, 2/3, 3/3
本作品はカンヌ映画祭の要請により、カナル・プリュスの共同製作で作られ、2000年の映画祭の開会式で上映された。ハンス・オッテのミニマル風の静謐なピアノ曲が流れる中、年号がシンプルに「1990」から「1900」まで15年ずつ遡って表示され、ヴァン・ヴォークト、ベルクソン、バタイユ、ギヨタらの断片が二人の男女によって読まれるとともに(男声はギヨタが受け持っている)、キューブリックの『シャイニング』、ゴダール自身の『勝手にしやがれ』のラストシーン、ロジェ・レーナルトの『最後の休暇』、マルローの『希望』、ドライヤーの『吸血鬼』などの映像が、戦争関連のニューズディールやポルノグラフィと混ぜ合わされて登場する。
「失われた世紀を求めて」展開されるこの探求は、「GOULAG」から「LAGER」への語呂合わせ的な文字の変移に明瞭なように、コソヴォから第二次世界大戦に至る20世紀の惨禍をライトモチーフにし、技法的な観点からも『映画史』の付録のような位置を占め、また『アワーミュージック』の地獄篇に通じる作品となっている。
(『ユリイカ』2002年5月号「特集=ゴダールの世紀」、堀潤之「ゴダール・フィルモグラフィー 1987-2001」から抜粋・改変)
director: Jean-Luc Godard
script: Jean-Luc Godard
music: ハンス・オッテ(Hans Otte)
text: ヴァン・ヴォークト(Van Vogt), アンリ・ヴァカン(Henri Vacquin), アンリ・ベルクソン, ジョルジュ・バタイユ, ジャン=ベニーニュ・ボシュエ(Jean-Benigne Bossuet), ピエール・ギヨタ(Pierre Guyotat)
voice: ピエール・ギヨタ、ロナルド・アリエル・シャマ(Ronald Ariel Chammah)
photo: ジュリアン・ハーシュ(Julien Hirsh)
mix: フランソワ・ミュジー、ガブリエル・ハフナー(Gabriel Hafner)
production: ヴェガ・フィルム(Vega Films)
対訳シナリオはこちら
注
* ボシュエ(1627-1704)はルイ14世に仕えた神学者であり、王権神授説を唱えた。数多くのテキストを残し、当時の文学者としても著名。
* ギヨタ(1940-)は小説家・舞台演出家。邦訳には『五十万人の兵士の墓』『続五十万人の兵士の墓』(二見書房)、『エデン・エデン・エデン』(ペヨトル書房)がある。ギュヨタ、ギュイヨタとも表記されている。
ネットにある『エデン・エデン・エデン』についての記事:
http://www1.ocn.ne.jp/~ppl/epaves01/guyotat.htm
http://www.fuchu.or.jp/~d-logic/jp/books/edenedeneden.html
また、演劇演出とゴダールの関係についての小文:
http://homepage3.nifty.com/musicircus/ecm/ecm_ns/1706_9.htm
* シャマは、ゴダール作品にもたびたび登場したイサベル・ユペールの夫であり、監督作『鳶(Milan noir)』(1988)、ジャンヌ・フーシェとの共著(『イサベル・ユペール 肖像の女性』、Seuil, 2005)がある。
■追記(2007年12月14日)
数ヶ月前のニコニコ動画運営側の調整によって、アカウントなしで見るためのニコニコ動画ビューアが通用しなくなったため、該当URLへのリンクは削除した。
■追記(2009年3月4日)
仏/英/邦対訳シナリオのリンクを忘れていたので改めて付した。
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