2007年7月20日金曜日

ゴダール&ミエヴィル『フランス映画の2×50年』(1995)

ゴダール&ミエヴィル『フランス映画の2×50年』
(Jean-Luc Godard, Anne-Marie Miéville, Deux fois cinquante ans de cinéma français, 1995, 51m, video)
 director: Jean-Luc Godard, Anne-Marie Miéville
 scénario: Jean-Luc Godard, Anne-Marie Miéville
 assistant director/assistant réalisateur(演出助手): ジルベール・ギシャルディエール
 director of phoyograhy: イザベル・チャイカ
 sound engineer: Stéphane Thiébaut(ステファヌ・ティーボー)
 editor: Jean-Luc Godard
 cast: Michel Piccoli, Jean-Luc Godard, Cécile Reigher(セシル・レゲール), Estelle Grynszpan(エステル・グリュンスパン), Dominique Jacquet(ドミニク・ジャケ), Patrick Gillieron(パトリック・ジリエロン), Fabrice Dierx-Benard(ファブリス・ディエルクス=ベナール), Xavier jougleux(グザヴィエ・ジュグルー)
 (※imdbや多くのサイトでは、Estelle Grynspanではなく、Estelle Grynszpanになっているので、これにしたがった)
 production: British Film Institute(BFI), Périphéria
 executive producer(製作総指揮): Collin MacCabe(コリン・マッケイブ), Bob Last(ボブ・ラスト)
 production manager/director de production(製作主任): Philippe Saal(フィリップ・サール)
 (※この役割はまれに仏語から直訳して「製作監督」と訳されることもある)

See (in Niconico Doga)
1/2, 2/2

 各国の映画作家に発注された映画百年記念TV番組の一本。ゴダールは湖畔のホテルのラウンジで、映画最初の世紀を祝う会の会長ミシェル・ピコリと会見し、なぜ映画百年を祝うのかと疑問を投げかける。この会見の後、ホテルに一泊したピコリは、ホテルの従業員たちにフランス映画の監督、俳優、作品などについて質問するが、彼らはフランス映画の歴史をまるで知らないようだ。ピコリはホテルを去る。最後にディドロ、フロマンタン、フォール、サドゥール、エプスタン、オリオール、マルロー、コクトー、ブレッソン、バザン、ロメール、トリュフォー、リヴェット、デュラス、ダネーらのテクストが引用される。
(『現代思想』1995年9月臨時増刊号「総特集=ゴダールの神話」、「フィルモグラフィ」の細川晋執筆の項から抜粋)

 BFIが映画百年を記念して各国の監督に依頼したTV番組シリーズのフランス篇。ゴダールはこの作品を『映画史』の補遺と位置づけているが、ミエヴィルとの共同監督によることもあり、『映画史』とはやや雰囲気が異なる。ゴダールとミシェル・ピコリが会見するホテルのラウンジも、ピコリがフランス映画について従業員に質問する部屋も、『映画史』ではいくつかの「実写」場面に用いられるだけだった、平板で陰影の少ないTV的な光線で撮られており、ドビュッシーなど使用される音楽のレパートリーも『映画史』とは重ならない。とはいえ、本作品には、1A末尾に登場する「マックス・ランデールの最期の言葉」、2Aで読まれるボードレールの「旅」などが登場し、最期を締め括るディドロ、エリ・フォール、オリオル、コクトー、バザン、トリュフォー、ダネーらの批評家たちの肖像と引用は、大部分が3Bで反復されている。
(『ユリイカ』2002年5月号「特集=ゴダールの世紀」、堀潤之「ゴダール・フィルモグラフィー 1987-2001」から抜粋)

■追記(2007年12月14日)
 数ヶ月前のニコニコ動画運営側の調整によって、アカウントなしで見るためのニコニコ動画ビューアが通用しなくなったため、該当URLへのリンクは削除した。
■追記2(2008年3月30日)
 コリン・マッケイブ『ゴダール伝』(堀潤之訳、みすず書房、2007)巻末フィルモグラフィー(サリー・シャフト編)がきわめて詳細なものだったため、これをもとに上記のスタッフリストを書き足した。